2人にとって一生ものになるマリッジリング。職人が一から十まで制作すればクオリティは間違いないものになりますが、せっかくなら実際に指輪をつける人やプレゼントする人が制作の過程に関われたら一層特別な指輪になると思っています。
当工房では、鋳造に必要な型をオリジナルの指輪のデザインに沿って制作する工程をお客様にお手伝いしていただくコースも準備しています。切ったり削ったり、手を使う作業を体験することでより特別感のある指輪が仕上がるのではないでしょうか。(もちろん、整える作業は私の方でやりますので、最終的なクオリティに問題はありません)
とはいえ、いきなり作業を手伝ってと言われても…という方もいらっしゃると思うので実際の作業の様子を書いていこうと思います。
「鋳造」での指輪作りの作業はワックスと呼ばれる素材を、作りたいデザインの原型に削り出していく作業が主となります。仕上がりに直に反映されるので、繊細でありながら重要な作業です。
こちらの鮮やかなブルーの筒がワックスと呼ばれる素材です。ロウソクのような触り心地です。
打合せで決めた指輪の厚さに切り出すため、計測器で測ってぐるっと一周印をつけます。コンマ1ミリ単位で測れて、印もつけられる、小さくても頼れる計測器を使います。
次は先ほど印をつけた少し外側をノコギリでカットしていきます。
カットした断面をヤスリで滑らかにしていきます。指まで削ってしまわないよう注意!
次に輪の中も削って滑らかに。指に合うサイズまでていねいに削っていきます。指が実際に触れる面なので、つけ心地を左右します。
次は、外側も削っていきます。ふたたび計測器が登場。
指輪の厚みを左右する削り作業です。
好みの厚さまで削ったら細かいヤスリに持ち替えてさらに削り、なめらかにしていきます。
お客様に体験していただけるのはここまでの作業で、あとはこの型を使ってさらに金属を流し込むための型を作り、本格的な制作に移って行きます。
今回は流れを説明するためにシンプルな形をつくりました。もちろん、いろいろと装飾もできます。
オリジナルのデザインの表現も、紙の上だけでなく削り出すところまで制作に関わることで実感を持てますよね。2人で手を動かして作業する時間も大切な思い出になると思います。